おはなし
かわいい動物のお話
ゆめあるオリジナルのかわいい動物のお話。
どうぶつえんにすむみゃお
第1回 かわいい動物のお話投稿コンテスト優秀作品
- 文:田口愛子
- 絵:タナカ*アイコ
本文
みゃおは、どうぶつえんに住んでいる。でも、おりの中にはいない。
きょねん、どうぶつえんの小さなすきまから入ったのだ。
ライオンは、おりの中にいる。
ゴリラも、おりの中にいる。
キリンも、おりの中にいる。(たまに長いくびだけ、おりから出せる)
サルは、サル山の上にいる。
みゃおだけは、どうぶつえんの中をじゆうに歩けた。
だから、ぜんぶのどうぶつたちと友だちだ。
「しろくまくん、今日は、てんきがいいね」
「ああ、あつくて りくに上がりたくないよ」
しろくまは、大きなすいそうから かおだけを出した。
「へびくん、きみのからだはなぜながいの」
「しらないよ。かわをぬいだら、からだがのびるんだ」
みゃおはびっくりした。
「よし、今日はこれをだれかにおしえてあげよう」
どうぶつたちは、みゃおがくるのをたのしみにしていた。
みゃおのおはなしは、とてもおもしろいのだ。
ライオンの赤ちゃんがうまれたことも、
だちょうのたまごが大きいことも、
パンダがちゅうごくからひっこしてきたことも、
みゃおがどうぶつたちにおしえた。
みゃおがおもしろいおはなしをすると、
どうぶつたちは、おりのすきまからえさをわけてくれた。
ある日、ライオンはいった。
「みゃお、あしたもおもしろいおはなしをしておくれよ。
おりの中では、えものがにげなくてたいくつなんだ。
いま、おれを見ているにんげんのかおもおもしろいけど、もうあきた」
「ああ、わかったよ。じゃあ、またあした」
みゃおは、にんげんのかおをちらっと見て、ささっと走った。
きょうも わかめは
第1回 かわいい動物のお話投稿コンテスト優秀作品
- 文:さいとうみよこ
- 絵:中田喜久
本文
うちの うさぎは わかめです。
わかめというなの うさぎです。
けなみがしろとくろなので わかめというなになりました。
ほんにんは まったく きにしていません。
うちの うさぎは わかめです。
わかめは ひるまは ねています。
じめんにべったりすわるので くびのまわりがえりまきみたい。
ほんにんは まったく きにしていません。
うちの うさぎは わかめです。
よるには うきうき しています。
へやのすみからべつのすみへと よろこんでかけまわります。
ほんにんは とっても たのしそうです。
うちの うさぎは わかめです。
さわられるのが だいきらいです。
だれかにおしりをなでられると ぷぅぷぅぷぅといかります。
かぞくは だれも きにしていません。
うちの うさぎは わかめです。
だかれるのは このよで もっとも ふゆかい。
だれかにだっこされると ぶぅぶぅぶぅとあばれます。
かぞくは だれも かまいません。
きょうも わかめは ぶぅぶぅ いってるね。
はっ はっ はっ はっ。
わかめは ふしぎな うさぎです。
みぎのめと ひだりのめ ちょっと かたちがちがいます。
うちにきたときから ずうっと うまれつき。
ほんにんは ちっとも きにしていません。
かぞくも まったく きにしません。
きょうも わかめは げんきで かわいいね。
あっ はっ はっ はっ。
うさぎも にんげんも みいんな かぞく。
みいんな そろって げんきです。
とつおいつの迷い
第1回 かわいい動物のお話投稿コンテスト最優秀作品
- 文:印田あみ
本文
明るい路地うらに、とつおいつがすわっていると、女の子がちかづいてきた。
とつおいつは、女の子が、ネコずきだとわかると、自分の姿を、ネコにかえた。
「かわいい、子ネコさん」
女の子は、目をほそめて、とつおいつのあたまをなでた。
つぎにとおりかかったのは、イヌずきの男の子だった。
さっそくとつおいつは、イヌになりきった。
「イヌだ、イヌだ」
男の子は、イヌをだきかかえて、よろこんだ。
とつおいつは、人のこころがよめた。
その姿は、どんなものにでも、かえることができた。
ネコずきならネコに、イヌずきならイヌに、ウサギがすきならウサギになって、人々をたのしませた。
人のたのしむようすをみるのが、とつおいつにはなによりのよろこびだった。
この町内に、象があらわれたり、カンガルーがとびはねたり、ペンギンがあるいていたりするのもみな、とつおいつのせいだった。
窓辺に、女の子がもたれて泣いていた。
とつおいつは植木の影から、女の子をうかがった。
一週間前、女の子のお母さんが、病気で亡くなったのだった。
女の子は、お母さんにあいたいと、泣いていた。
とつおいつは、一瞬、女の子のお母さんになろうかと、迷った。
だけど、それは、やってはいけないことだった。
それでとつおいつは、パンダになると、女の子にむかって手をふった。
それをみて、女の子は、クスリと笑った。
とつおいつは、ほっとして、パンダの姿のまま、たちさっていった。
横丁にパンダがあらわれたというニュースで、その日はもちきりだった。
ペンギンがくれたアイス
第1回 かわいい動物のお話投稿コンテスト優秀作品
- 文:あんじぇりか
- 絵:小林凡輝子
本文
みーんみーんみーんみーん・・・
セミがなきはじめたよ
またあつい夏がくる
ミキちゃんはそう言って、おでこのあせを手のひらでぬぐった
「ふー」といきをはくと
ポケットからハンカチタオルをとり出して動物園のふん水のわきにこしかける
ちょっと太めのミキちゃんをおいて、おともだちは園内を楽しそうに歩いてる
しんどいけど、これくらいでへこたれちゃいけないんだよね
夏になってもみんな「せつでん」するってがんばってる
お母さんが言ってた
ことしの夏は電力りょうがたりないから、みんな「せつでん」するって
お父さんが言ってた
会社でもいつもよりクーラーの温度をおさえるんだって
みんなみんながんばってる
わたしもがんばらなくちゃ
「せつでん」ってたいへんだけど
これからもっともっとあつい日がつづくんだから
ミキちゃんは水とうのお水をぐいっと飲んでまた「ふー」と言った
しゃがんでるミキちゃんを、だれかがのぞきこんだ
「ぺ、ペンギン!」
ミキちゃんはうしろのふん水にひっくりかえりそうになった
ミキちゃんのこしくらいの身ちょうのペンギンは首をかしげると
ななめにかけたポシェットの中から、ヨイショヨイショって何かをとり出した
そして、ふたつの小さな手にはさんだアイスキャンディーをミキちゃんにさし出した
「これ、くれるの?」
びっくりしたミキちゃんがたずねると
ペンギンはこっくりこっくりうなずいた
「ありがとう」
びっくりしながらミキちゃんはそのアイスキャンディーをうけとった
ペンギンは、またひとつうなずくと
アスファルトの地めんをあつそうにペタペタと早足で歩いて消えてしまった
ミキちゃんはそのうしろすがたを見まもった
おかしくて、うれしくてあつさもつかれも飛んでしまったみたいだった
ペンギンさんもがんばってるんだもの
あつい夏も悪くないかもしれないと思った
これを食べたらみんなのところに行こうっと
そう言ってアイスをほうばって笑った
チュンチュンあいさつホーホケキョ
第1回 かわいい動物のお話投稿コンテスト次点作品
- 文:かたこりおふろ
- 絵:水田まり
本文
"チュンチュン!"
おはよう!
ボクはスズメなんだけど、ともだちのウグイスくんは話すのがとてもにがてで、うるさいんだ。
「おはよう」だってちゃんといえないんだよ。
"ホーホケッ"
こんなかんじさ。
でも近くにすんでるにんげんさんは、
「ウグイスさん、なくのへたくそでかわいいね」
なんて言っておおよろこび。
ボクのほうがよっぽどうまくしゃべれるんだぞ。
「おはよう、にんげんさん!」
"チュンチュンッ!"