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むかしむかしの おはなしです。
ねずみの ふうふに かわいい むすめが うまれました。
「しあわせな けっこんを させたいね」
「せかいいち つよい おむこさんを もらいましょう」
ふうふは たいようの ところへ いきました。
「せかいいち つよい たいようさん、むすめを およめさんに してください」
「うれしいけれど、わたしより つよいものが いるよ」
ねずみは びっくり。
「だれですか?」
「くもだよ。さすがの わたしも くもに かくれると みえなくなってしまう」
こんどは くもの ところへ いきました。
「くもさん、むすめを およめさんに してください」
「うれしいけれど、わしより つよいものが いるぞ」
ねずみは また びっくり。
「だれですか?」
「かぜさ。かぜが ふけば わしは とばされて しまうからな」
そこで かぜの ところへ いきました。
「むすめを およめさんに してください」
「うれしいけれど、かべの ほうが つよい。どんな かぜにも びくとも しないからね」
ふうふは かべの ところへ いきました。
「むすめを およめさんに してください」
「うれしいけれど、おれより つよいものが いるよ」
「いったい それは だれでしょう?」
「ねずみだよ。ほら ごらん。きみたちが かじった せいで、おれの あしもとは ぼろぼろだ」
「なんと まあ せかいで いちばん つよいのは、われわれ ねずみだったのか」
ふうふは たいへん おどろきました。
「それなら おとなりの ちゅうきちと けっこん させましょう」
むすめは ねずみの おむこさんを もらいました。
そして、いつまでも しあわせに くらしました。