おはなし
王様の耳はロバの耳
童話「王様の耳はロバの耳」。
- 文:東方明珠
- 声:須田勝也(コトリボイス)
- 絵:アトリエYUN
- アニメ:ゆめある
本文
むかしむかしの おはなしです。
ひとりの とこやが おしろへ よばれました。
これから おうさまの かみを きるのです。
「ここで みたことは だれにも いっては ならぬ」
そういって おうさまは ぼうしを とりました。
ぴょこん。
なんと そこには ろばの みみが あったのです。
とこやは どきどき しながら かみを きりました。
「びっくりした」
だれかに はなしたくて たまりません。
「ひみつって くるしいなあ」
とこやは たえきれなくて、もりへ いきました。
ふかい あなを ほって、おおきな こえで さけびます。
「おうさまの みみは ろばの みみ!
おうさまの みみは ろばの みみ!」
きぶんは すっきり。
つちを かぶせて かえりました。
あるひ ひつじかいが もりで あしの ふえを つくりました。
ふいてみると ふしぎな うたが ながれます。
「♪おうさまの みみは ろばの みみ~」
こどもたちが おもしろがって まねを しました。
「♪おうさまの みみは ろばの みみ~」
いつしか まちじゅうの ひとが うたうように なりました。
おうさまは かんかんです。
「やくそくを やぶったな」
とこやは しょうじきに いいました。
「いいえ。だれにも しゃべって いません。
あなに むかって いった だけです」
「うむむ」
おうさまは かんがえました。
そとからは たのしげな うたが きこえてきます。
「♪おうさまの みみは ろばの みみ~」
「こうなったら しかたがない」
おうさまは おもいきって ぼうしを とりました。
「わしの みみは ろばの みみじゃ」
なんだか むねが すかっと しました。
おうさまは かくしごとを やめました。
まちの ひとは そんな おうさまが だいすきに なりました。