おはなし

雪女

とても美しく、とても恐ろしい雪女に出会ってしまった若者のお話。
とても怖いお話なので、小学校高学年以上を推奨します。

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:須田勝也(コトリボイス)

本文

これは 世にも ふしぎな おはなしです。
むかし、ある村に 年老いた木こりの もさく と、わかい木こりの みのきち がおりました。

あるばん、山からかえる とちゅう、びゅうびゅうと 雪が ふきあれていたので 
ふたりは 山ごやで よるを すごしました。

まよなか みのきちは 目を さましました。
こやは しんしんと ひえています。
「ひどく さむいな」
ふと 見ると 足もとに ひとりの 女が 立っていました。
まっ白の きものに 長い くろかみの ぶきみなほど きれいな 人です。
女は ねむっている もさくに 近づき、ふっと いきを ふきかけました。
すると もさくの かおは 青ざめ、見るまに つめたくなって しまいました。

「雪女だ」
みのきちは おそろしくて ぶるぶる ふるえました。
女は ゆっくりと 近づいてきます。
「もう だめだ」
けれども、女は しずかに 言いました。
「おまえは わかいから たすけてあげる。
このことを決してだれにも 話してはいけないよ。
もしも だれかに 話したら ころしに 行くからね」

よくあさ、もさくは しんでいました。
みのきちは ひみつを かかえて 家に 帰りました。

一年ごの 冬。
みのきちの 家に ひとりの むすめが やってきました。
「ふぶきで こまっています。どうか とめて ください」
むすめの はだは すきとおるように 白く、
くろかみは つややかで たいへん うつくしい 人でした。
名まえは お雪といいました。

みのきちと お雪は ひと目で こいに おちました。
ふたりは けっこんして しあわせに くらしました。
それから なん年も たちました。

ふたりの あいだには はだの 白い 子どもが たくさん うまれました。
けれども、ふしぎなことに お雪は けっして としを とらず
いつまでも 若い ままでした。

こんやは ひどい ふぶき です。
「まるで あの日の ようだ」
みのきちは 雪女の ことを 思い出しました。

「あなた、どうしたの?」
お雪が たずねて きました。
みのきちは すなおに はなしました。

「ずっと むかし 今日みたいな ふぶきの ばん、雪女と あったんだ」
そのとたん お雪の 目が つりあがり、おそろしい かおに なりました。

「だれにも はなしては いけないと 言ったのに」
なんと お雪は あの日の 雪女 だったのです。
お雪は みのきちを にらみつけて 言いました。

「いますぐ ころして やりたいが 子どもたちが いる。
 いいね、子どもたちを だいじに しなさい。
 さもなければ かならず ころしに くるからね」

つめたい かぜが びゅうっと ふきました。
お雪は 白い こおりの つぶに なり きえて しまいました。

くわしくみる

  • 文:東方明珠
  • 声:川本知枝
  • 絵:紺島

本文

これは 世にも ふしぎな おはなしです。
びゅうびゅうと 雪が ふきあれる ばん、
きこりの ろう人と わかものが 山ごやで よるを すごしました。

まよなか わかものは 目を さましました。
こやは しんしんと ひえています。
「ひどく さむいな」

ふと 見ると 足もとに ひとりの 女が 立っていました。
まっ白の きものに 長い くろかみの ぶきみなほど きれいな 人です。
女は ろう人に 近づき、ふっと いきを ふきかけました。
すると ろう人の かおは 青ざめ、見るまに つめたくなって しまいました。

「雪女だ」
わかものは おそろしくて ぶるぶる ふるえました。
女は ゆっくりと 近づいてきます。
「もう だめだ」

けれども、女は しずかに 言いました。
「おまえは わかいから たすけてあげる。
 でも、もしも だれかに はなしたなら ころしに 行くからね」

よくあさ、ろう人は しんでいました。
わかものは ひみつを かかえて 家に 帰りました。

一年ごの 冬。
わかものの 家に ひとりの むすめが やってきました。
「ふぶきで こまっています。どうか とめて ください」

むすめの はだは すきとおるように 白く、
くろかみは つややかで たいへん うつくしい 人でした。
わかものと むすめは ひと目で こいに おちました。
ふたりは けっこんして しあわせに くらしました。

それから なん年も たちました。
ふたりの あいだには はだの 白い 子どもが たくさん うまれました。
けれども、ふしぎなことに つまは けっして としを とらず
いつまでも わかい ままでした。

こんやは ひどい ふぶき です。
「まるで あの日の ようだ」
男は 雪女の ことを 思い出しました。
「あなた、どうしたの?」
つまが たずねて きました。

男は すなおに こたえて しまいました。
「ずっと むかし 今日みたいな ふぶきの ばん、雪女と あったんだ」
そのとたん つまの 目が つりあがり、おそろしい かおに なりました。
「だれにも はなしては いけないと 言ったのに」
なんと つまが あの日の 雪女 だったのです。

雪女は 男を にらみつけて 言いました。
「いますぐ ころして やりたいが 子どもたちが いる。
 いいね、子どもたちを だいじに しなさい。
 さもなければ かならず ころしに くるからね」
つめたい かぜが びゅうっと ふきました。
雪女は 白い こおりの つぶに なり きえて しまいました。

雪女について

空想上の雪の妖怪です。
妖怪ウォッチやゲゲゲの鬼太郎でも登場するね。

起源は古く、室町時代から言い伝わる妖怪です。
明治時代の小説家 小泉八雲の「怪談」に登場するお話が有名です。

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