おはなし
きゅうけつ生ぶつ チュパカブラ
家畜の血を吸うチュパカブラ(ヤギの血を吸う者)を目撃してしまったカルロスの運命は…?
とても怖いお話なので、小学校高学年以上を推奨します。
- 文:東方明珠
- 声:須田勝也(コトリボイス)
- 絵/アニメ:ゆめある
本文
これは 世にも ふしぎな おはなしです。
みなみアメリカの ある村で、
カルロスは 夕方の 空に ふしぎな ものを 見つけました。
あかい ひかりが あっちへ ふらふら こっちへ ふらふら しています。
「おかあさん、UFOだよ」
「きっと 鳥の 目が ひかったのよ」
カルロスは なんだか すっきり しませんでした。
よくあさ。
かちくごやの ヤギが いっぴき のこらず しんでいました。
みんな くびに かまれた あとが あります。
「きっと オオカミの しわざね」
おかあさんは 言いました。
「でも、へんだよ。からだが しわしわだ」
まるで ちを すわれた みたいに ヤギは ひからびていたのです。
「もしかして チュパカブラが きたのかな」
カルロスは、あかい 目をした トカゲのような 生ぶつを 思い出しました。
うちゅうから UFOに のって やってきた チュパカブラは、
ヤギなどを おそって ちを すうらしいのです。
「バカなこと 言わないの」
いそがしい おかあさんは はなしを きいて くれませんでした。
そのよる、カルロスは 草かげに かくれていました。
「ぜったいに しょうたいを あばいてやるぞ」
村の あかりが きえたころ、
ペタリ ペタリ という 足音が 近づいてきました。
くらやみには まっかな 目の玉が ふたつ、
きみわるく ぎらぎらと かがやいています。
二本足で あるく 生ぶつは、
おかあさんよりも 大きくて あたまと せなかに トゲがありました。
ひふが ぬるっとして、トカゲのような はん点が あります。
「やっぱり チュパカブラだ……」
カルロスは ごくりと つばを のみこみました。
そのときです。
あかい 目が こちらを むきました。
「気づかれた!」
カルロスは あわてて にげ出しました。
しかし、ころんで しまったのです。
チュパカブラは 木よりも 高く とびあがり、
あっというまに 目のまえまで やってきました。
するどい きばを のぞかせた 口が よだれを たらしながら 近づいてきます。
「たべられる!」
カルロスは ぎゅっと 目を つむりました。
つぎの あさ。
しずかな 草げんには ひからびた 少年が たおれていたそうです。