はるちゃんには こまった くせが あります。
だれかを だまして たのしむ くせです。…
少し怖いお話なので、小学校低学年以上を推奨します。
くわしくみる
- 文:東方明珠
- 絵/アニメ:ゆめある
- 声:土屋 実紀(コトリボイス)
本文
はるちゃんには こまった くせが あります。
だれかを だまして たのしむ くせです。
「かなちゃんが ちえちゃんのこと きらいだって」
うそを しんじた ともだちは おおげんか。
「だまされちゃって ばかみたい」
はるちゃんは くすくす わらいました。
そのとき、
「ほっぺたが かゆい」
かがみを みたら ちいさな あかい ふくらみが できていました。
「むしに さされたのかな」
はるちゃんは あまり きに しませんでした。
「ここに あった 100えん しらない?」
ままが いいました。
はるちゃんは いもうとを ゆびさしました。
「よっちゃんが とっちゃった」
ほんとうは はるちゃんが かくしたのです。
しかられる いもうとを みて にやにや。
「ふたりとも おっかしい」
そのときです。
ほっぺが むずむず しました。
ふくらみが ずいぶん おおきく なっています。
まるで ひとの かお みたいです。
「わたし やどりぎ」
「しゃべった!」
はるちゃんは こわくなって かみのけで かくしました。
やどりぎが きゅうに おおごえを だしました。
「100えん とったの わたしよ」
ままが びっくりして やってきました。
「だまされちゃって おっかしい」
やどりぎは つづけます。
「ちがう、ちがうったら」
あわてて くびを ふりました。
けれども ままは かんかん です。
がっこうでも やどりぎは かってに しゃべり だしました。
「かなちゃんと ちえちゃんって だまされて ばか みたい」
はるちゃんは まっさおに なりました。
「ちがう。わたし、いってない」
しかし、やどりぎは とまりません。
「わたし、うそ だいすき」
「はるちゃん なんか もう しらない」
うそつきな はるちゃんを しんじる ひとは だれも いなくなりました。
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