おはなし
赤鬼からもらった力
日本の昔話「赤鬼からもらった力」。
- 文章:東方明珠
- 朗読:結城ハイネ
- 絵:森のくじら
本文
むかしむかしの おはなしです。
やまおくの ちいさな てらに おのぶ という かわいらしい おんなのこが いました。
あるひ おのぶは うらやまへ たきぎを ひろいに いきました。
つよい かぜと ともに くろくもが わいてきて、あたりは まっくらに なりました。
どしーん どしーんと あしおとが ちかづいてきます。
「なんだろう?」
やみの なかから まっかな かおに ぎょろぎょろした めの おにが あらわれました。
「どうだ、こわいか?」
あかおには だいちを ふるわす こえで いいました。
おのぶは こわがるのは くやしいと おもいました。
「こわくないもん!」
おなかの そこに ちからを こめて にらむと、あかおには わらいました。
「きにいった。おまえに わしの ちからを さずけよう」
あかおには にぎりこぶしを だしました。
おのぶも まねを すると、あわさった げんこつから ちからが ながれてきました。
せが ぐんぐん のびて、うでは たくましく なりました。
からだじゅうに ちからが みちています。
はっと きづくと おには いなくなって いました。
つよくなった おのぶは、まいにち おもい せんたくいしを かついで かわへ むかいます。
かいりきの うわさを きき、みしらぬ おとこが やってきました。
「おれと ちからくらべを しろ!」
ふたりは せんたくものの りょうはしを もって、ねじりあいました。
おとこが いくら しぼっても おのぶは びくとも しません。
「こんどは わたしね」
おのぶは えがおで せんたくものを ぐるぐると ねじりました。
あまりの いきおいに おとこは ふきとばされて しまいました。
よくじつ、おとこは こぶんを ひきつれて しかえしに きました。
「よくも はじを かかせたな」
おのぶも まけて いません。
「ここまで おいで」
へいの うえに たち、まるたを ちからいっぱい なげつけます。
こぶんたちは つぎつぎと たおれて いきました。
「ごめんなさーい」
さいごの ひとりに なった おとこは ほうほうのていで にげかえったとか。
いまでも ぐんまけんの せいがんいん には おのぶの せんたくいしが のこっている そうです。