おはなし
だれのゲーム?
ちょっぴり こわいお話「だれのゲーム?」です。
- 文章:東方明珠
- 朗読:根岸耀太朗(コトリボイス)
- 絵:ざわとみ
本文
これは よにも ふしぎな おはなしです。
サトウくんは、あるひ がっこうで おとしものを ひろいました。
「ゲームソフトだ」
がっこうに もってきては いけない もの です。
せんせいに みつかったら しかられて しまいます。
「あとで もちぬしに かえして あげよう」
こっそりと ポケットに いれましたが、そのまま わすれて しまいました。
よるに なって ゲームの ことを おもいだしました。
「あした かえそう」
ソフトには なまえが かいて ありません。
タイトルも うすよごれて よめません。
「あそんでみたら わかるかな」
ためしに じぶんの ゲームきに セットしました。
「セーブデータが ある。ヨミヤマ ユウタ……?」
しらない なまえ です。
「ちがう クラスの こ かな?」
くびを ひねった そのとき。
『かえして』
どこから ともなく きみの わるい こえが きこえてきました。
へやの なかには じぶんしか いません。
ふと、まどの カーテンの すきまに ひとかげが みえました。
「だれか いるの?」
いきおいよく カーテンを ひらきました。
そこには、しろくて ぼんやりと ひかる ゆうれいのような こどもが いました。
『ぼくの ゲーム、かえして』
サトウくんは こわくなりました。
「おかあさん!」
ゲームきを なげだし、おかあさんを よびに いきました。
いっしょに そとを みまわりましたが、だれも いません。
へやへ もどってくると ゲームソフトは なくなって いました。
つぎのひ サトウくんは せんせいに きのうの ことを はなしました。
「わかりました。つぎは ちゃんと せんせいに おしえて くださいね」
「はい。ごめんなさい」
きちんと あやまってから、きになっていた ことを きいてみました。
「ヨミヤマ ユウタ って こを しっていますか?」
すると、せんせいの かおは さっと あおく なりました。
「ヨミヤマくんは せんせいの クラスの こ でした」
くちびるを ふるわせて つけくわえます。
「さんねんまえに じこで なくなりました」
それでは、きのうの こどもの しょうたいは……?
こたえは だれにも わかりません。