おはなし

フランダースの犬

世界の童話「フランダースの犬」。

くわしくみる

  • 原作:ウィーダ
  • 文章:東方明珠
  • 朗読:佐野はなび
  • イラスト:木咲朝日
  • アニメ:ゆめある

本文

ネロは フランダースの ある村で まずしく くらしていました。
「おじいさん、大きな 犬が たおれているよ」
「かわいそうに。むちで うたれた あとが ある」
ふたりは 少ない パンを わけ、一生けんめい せわを しました。
「ワン!」
元気になった 犬は パトラッシュと 名づけられました。

おじいさんは ミルクを はこぶ しごとを していました。
「ワン!」
パトラッシュは 自分から 車を ひきはじめました。
やがて おじいさんが 病気になると、ミルクはこびは ネロと パトラッシュの しごとに なりました。

ネロには ゆめが ありました。
「いちどで いいから ルーベンスの 絵が 見たいなあ」
教会に ある その絵は お金を はらわないと 見せてくれないのです。
かわりに しごとが おわると たくさん 絵を かきました。
「コンクールに 出してみたら?」
友だちの アロアが 言いました。
アロアは 村で いちばん お金持ちの コゼツさんの むすめです。
しかし、コゼツさんは アロアが びんぼうな ネロと なかよくするのを いやがりました。

ある日 コゼツさんの 風車ごやが 火事に なりました。
「おまえが はん人だな」
コゼツさんは ネロの せいだと きめつけました。
「わたしを うらんで 火を つけたんだ」
うわさは ひろまり ネロは しごとを うしないました。

クリスマスイブの 前のばん、おじいさんが なくなりました。
「お金が はらえないなら 出ていけ」
大家さんは ネロを こやから おいだしました。

ゆきが ごうごうと ふる中、ネロは パトラッシュを つれて まちへ 行きました。
ふたりは なん日も たべていません。
「だいじょうぶだよ。あしたは コンクールの 発表なんだ」
きっと 一等賞を とって 賞金が もらえるに ちがいありません。
しかし 優勝は ちがう人でした。
「もう つかれてしまったよ……」

村への かえりみち パトラッシュが コゼツさんの さいふを ひろいました。
ネロは アロアの お母さんに それを とどけました。
「この子が 見つけました。どうか たべものを わけてあげてください」
そう言うと ネロは ひとりで 教会へ むかいました。

「カーテンが 開いている。なんて すばらしい」
ネロは あこがれの 絵を 見あげて なみだを こぼしました。
「ワン!」
「パトラッシュ、来てしまったんだね」
ふたりは しっかりと だきあい 天国へ たびだちました。

「ひどいことをした」
コゼツさんは ないて あやまりました。
「この絵を かいた 子を しりませんか。わたしの でしに したいのです」
有名な 画家が ネロを さがしにきましたが なにもかも 手おくれでした。

おはなし一覧