• 原作：ノルウェーの昔話
• 文章：東方明珠
• イラスト：佐々木茉也
• 朗読：佐野はなび
• アニメ：ゆめある

本文

あるところに　三びきの　やぎが　いました。
なまえは　みんな　がらがらどん。
「おいしい　草を　たべにいこう」
三びきは　山へ　のぼっていきました。

とちゅうに　たに川が　ありました。
ほそい　はしを　わたらなければ　むこうへ　行けません。
はしの　下には　大きな　トロルが　すんでいて、ぎょろぎょろした　目で　こちらを　にらんでいました。

さいしょに　一ばん　小さな　がらがらどんが　はしを　わたりました。
かた　こと　かた　こと
「だれだ、おれの　はしを　かたこと　させるのは」
トロルが　大ごえを　出しました。
「ぼくです。一ばん　ちびやぎの　がらがらどんです。山へ　草を　たべにいくところです」
小さな　こえで　こたえると、トロルは　言いました。
「ようし　おまえを　ひとのみにしてやろう」
「どうか　たべないでください。ぼくは　からだが　小さすぎます。すこし　まてば　二ばんめの　がらがらどんが　やってきます。ぼくより　ずっと　大きいですよ」
「それなら　とっとと　行ってしまえ」
トロルは　ちびやぎを　おいはらいました。

つぎに　中ぐらいの　やぎの　がらがらどんが　はしを　わたりました。
がた　ごと　がた　ごと
「だれだ、おれの　はしを　がたごと　させるのは」
トロルが　大ごえを　出しました。
「ぼくは　二ばんめやぎの　がらがらどん。山へ　草を　たべにいくところだ」
中ぐらいの　こえで　こたえると、トロルは　言いました。
「ようし　おまえを　ひとのみにしてやろう」
「おっと　たべないでおくれ。すこし　まてば　三ばんめの　がらがらどんが　やってくる。ぼくより　ずっと　大きいよ」
「それなら　とっとと　いってしまえ」
トロルは　中やぎを　おいはらいました。

さいごに　大やぎの　がらがらどんが　はしを　わたりました。
がったん　ごっとん　ぎしり　ぎしり
あんまり　おもいので　はしが　あらしのような　おとを　立てました。
「だれだ　おれの　はしを　がったんごっとん　させるのは」
トロルが　大ごえを　出しました。

「おれだ！　大やぎの　がらがらどんだ！」
トロルよりも　ずっと　大きな　しゃがれた　こえが　山に　ひびきわたりました。

「ようし　おまえを　ひとのみにしてやろう」
トロルは　まけじと　さけびましたが、がらがらどんも　どなりかえしました。
「さあこい！　おれには　りっぱな　つのが　ある。いしより　かたい　ひづめも　あるぞ」
どっしん！
大きな　からだが　ぶつかりあい、トロルは　川へ　まっさかさま。
大やぎの　がらがらどんは　どうどうと　はしを　わたりおえました。

三びきは　それから　山へ　のぼっていきました。
おいしい　草を　たらふく　たべて　おなかは　ぽっこり。
なん日　たっても　からだが　ぽかぽかしていました。
めでたし　めでたし。